「心神喪失等医療観察法」に 異議あり

  ---「傷に塩を塗るような審判」の欺瞞---  厚労省・法務省は、2003年7月16日に公布した「心神喪失者等 医療観察法(以下医療観察法と呼ぶ)」は2005年7月15日を施行 期日と宣言した。 私は、その政令を再検討したが、それは総じて「精神障害者」 総体を「監視体制下」におく、きわめて重大な法内容となって いる判断する。 その「医療観察法」に「介護保険法」に規定される「指定居宅 サービス事業」(医療観察法第二条の六項)を取り込み、指定入院 機関、指定通院機関ともども、我々の監視網の一環として稼動す る法的責務を負わされる問題である。 居宅サービスを受ける者たちへの監視 「指定居宅サービス」の実際は、ホームヘルパーが「要介護者」の 自宅訪問で障害者・精神障害者・老人介護等のヘルプを行なう稼 動するシステムである。  しかしながら、それら公的サービスのホームヘルルパーが「医 療観察法」下で稼動する際、ヘルプが本来の目的でありながら、 「監視体制」下のサービスとなり、本末転倒の「サービス業務」 となる。  私は、その「サービス業務」に鋭い痛みと警戒感と戦慄さえ抱か ざるを得ない。  元無実の死刑囚赤堀政夫さんは、即座に「密偵だね」とその本質 を読み解かれた。  金を払って「監視される」私達の立場を理解し、即刻、医療観察 業務の否定を求める。 「医療観察話法・対象者」の監視状況下の生活を危惧する  「重大な犯罪行為を行った者=触法精神障害者(以下「対象者」と 呼ぶ)」は改めて「医療観察施設」入所要否のため「司法精神鑑定」 の対象者となる。  精神鑑定も含めて「自己情報コントロール権」も保持し得ない中 で、裁判官と精神科医師の合議制審議に強制的に出廷させられ(法25 条)その真只中で、自己の全歴史が語られる。  司法精神鑑定中も審議のための強制出廷中も、大方は急性期精神 状態である可能性が極めて高いと思われる。                それは、治療のチャンスを奪うどころか、「傷に塩を塗るような 衝撃を与える」こと」になる。  急性期であるだけに、例え、付添い人(弁護人)が付き添っても防御 能力はきわめて低いといわざるを得ない。  これらは人権上問題として強く訴えたい。  また、社会復帰が目的といわれる「医療観察法」がいかに欺瞞的か、 それらが明確に示している。具体的事実に即してこれらを告発する。  加えて、「日弁連」が主張する「擬陽性」(誤って「対象者」でない 者を施設入所させること)も指摘しておきたい。 「対象者」とその後「指定通院機関」への通院義務化 「対象者」は「医療観察施設」からときはなたれた後は保護監察官の 付き添いで「指定通院機関」への通院が義務付けられている。  その上、自宅内では、ホームヘルパーの「監視下」に置かれ、一切 の自由を剥奪される。 したがって、今回の「改正」も含めて「医療観察法」には「社会復帰 はない」に等しいと考える。 奇麗ごとで「社会復帰」を述べる厚労省・法務省の欺瞞と人権侵害を あらためて弾劾する。 触法精神障害者の支援・救援  ちなみ、私個人は「触法精神障害者」の支援・救援の取り組みを長年 継続してきた。 それらの中に、元無実の死刑囚赤堀さんの救援がもっとも困難であっ たといえる。 無論、無実は無実、実行犯でも「刑」の減軽を目的とするものではなく、 主たる目的は法廷内では適正手続きが行使されているか、加えて親族代わ りに、物心ともに多面的援助を行い、それらの人々に付き添ってきた。そ の数は相当数である。  それらの人々の公判では、証人申請された「司法鑑定医師」に、突然、 「精神分裂病は生来的に異常」と本人の面前で断定した場面にも遭遇した。  こうした場面には「差別だ」と怒鳴るが、被告人本人及び私(私も精神分 裂病)の受けた衝撃は計り知れない。いまだそれらを忘れ去ることはできな い。 そして、症状の悪化は必至で私はそれを看過できないでいる。 介護保険事業所のケアーマネージャーの質   つい先ごろ、ケアーマネージャーの訪問を受けたが、「ロボトミー」の ことが解ってなかった。 すなわち、素人が「医療観察法」の「監視員」としておかれたのである。 実際のケアーマネージャー・ヘルパー等、精神障害者の理解ができない 方々の参入で、「監視下」に置かれた私達は、「息もできない」緊張感を 強いられることになった。   精神障害者を危険とする治安管理網 「医療観察法」は「精神障害者=危険分子」の差別を固定し、拡大する強 化策である。 かつては、「ノーマライゼーション」と旗を掲げ、「障害者」と共に生 きられる社会の構築を目指した厚生省は、その前言をひるがえし、自らで その指針を形骸化させた。 この国は、障害者全体の自立を阻む「自立支援法」で切り捨て、介護保 険法でも切り捨てと、多くの経済力を家族に強いる。弱者総体の切り捨て である。 加えて、もっとも過酷な問題は、精神障害者の治安的拘禁と監視状況を 強いた「医療観察法」の導入であり、強い怒りと絶望を感じざるを得ない。 厚労省・法務省に、即刻、人権侵害「医療観察法」の廃止を強く求める。 ※ 精神障害者差別の固定化と拡大をやめなさい。 ※ 精神障害者の監視をやめなさい。 ※ 精神障害者の危険度は健常者の10分の1でしかあり得ません。 ※ 「医療観察法」は治療行為ではなく、精神障害者の「管理」・「監視」 です。即刻、廃止しなさい。 2005年7月11日 名古屋   0の会世話人 大野萌子                 
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