ネットワーク・ニュース NO.7 2006年1月14日発行 発行 心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク 連絡先 目黒郵便局留め e-mail :kyodou-owner@egroups.co.jp 090-8432-1091 (留守電になっています。お電話番号を吹き込んでください。 こちらからお電話します) 郵便振替口座 00120-6-561043 加入者名 予防拘禁法を廃案へ! Jan.2006 目次 _______________________________ 差別と拘禁の医療観察法の廃止を!11.20全国集会 ・・・ 1 基調報告「差別と拘禁の医療観察法の廃止を」 ・・・・・・・・4 集会決議文 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 各地からのメッセージ−福岡、愛知、富山、静岡、札幌― ・・・9 会計より・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 ネットワークからのお知らせ・スケジュール・パンフの紹介・・15 _______________________________ 差別と拘禁の医療観察法の廃止を!11/20全国集会 11月20日、「差別と拘禁の医療観察法の廃止を!11/20全国集会」が、東 京都新宿区の戸山サンライズにて行われました。7月15日に医療観察法が 施行され、医療観察法の存在自体を否定することは難しいという流れが、 精神保健福祉の関係者のなかに生じているのも事実でしょう。このような なか、当日は、医療観察法にNOという声を再度結集するために、全国の仲 間が集まりました。 総会(10:00〜12:00) 全国集会に先立ち、午前中に開催されたネットワーク総会では、東京の メンバーのほか、札幌、福岡、埼玉、京都など遠方からの参加者もあり、 20名ほどで議論が行われました。討論の中心は、午後の集会で発表する 「基調報告」の内容に関することでした。法の施行を受け、運動の方向性 を再度明確にすることが急務であるなかでの「基調報告」でしたので、参 加者各々がネットワークのこれまでとこれからを視野におきつつ、活発に 意見交換しました。具体的な論点として、まず、「基調報告」は、ネット ワークの内部で自問自答を繰り返すかたちになっていて、現場の危機感や 大きな動向をとらえきれていないのではないか、という提起がなされまし た。これに関し、@ 医療観察法が提供するのは医療ではなくて保安処分 だということを確認する内容、A 障害者自立支援法との関連もふまえて おり、治安関係を名目にしないと医療・福祉関係に予算がつかないという 指摘も重要、B 医療観察法の現状から、医療、福祉、治安といった問題 を広げて見ることができる視点が提起されている、などの意見が出され、 今回の「基調報告」の位置づけを参加者間で確認することができました。 次に、現状を「福祉は保険化、医療は最低限の医療と自己責任、治安は 肥大化」とまとめた上で、これまでの法の施行阻止という一点共闘から一 歩踏み出して、これからの運動を展開していくにはどうすればよいか、と いう問題が提起されました。この点については、@現在、医療、福祉や司 法の動きがどのように進んでいるかを詳細に把握することが必要、A医療 観察法の当初の建前が、なしくずしになりつつあるので、この「改悪」の 動きに照らし、法の廃止を求めていく、B各地の連携を強化するためにも 、各地で学習会などを開催できないか、などの意見が出されました。 医療観察法施行後、目まぐるしく状況が動くなか、今回の総会は、ネッ トワークの運動の意義を問い直すためのよい機会となりました。 全国集会(13:00〜16:30) 全国集会には69名の参加者があり、会場は満員でした。まず、ネットワー ク代表の龍眼さんが「基調報告」の要旨をかいつまんで紹介し、今回の全 国集会の主旨を述べ、集会が始まりました。次に、「医療観察法と私たち の課題」という共通テーマの下、三名の方から講演を行って頂きました。 最初の講演者、池原毅和さん(弁護士)は、医療観察法の申し立てを受け た人の付き添い人として活動する他、国立武蔵病院の「外部評価員」とし て、月二回、武蔵の病棟を訪問しています。当日は、そうした活動をふま えて、医療観察法の現状を紹介して下さいました。 <要旨> 医療観察法の適用を受けるか否かの審判の申し立ては1日約1件 のペース。全体的にみると、殺人未遂でもケガをした被害者がいない件や 、傷害罪など、非常に軽微なケースが多い。吟味せずに申し立てが行なわ れているという印象がある。医療観察法の医療適用の要件は「再犯のおそ れ」ではないことになっているが、現在、鑑定では、医療観察法の当初原 案に近い形で判断が行われ、その上、実際の判断は措置要件の「自傷他害 のおそれ」よりもゆるくなっている。さらに、社会復帰調整官の不備を指 摘。個人差はあるだろうが、社会資源としてどのようなものがあるかを積 極的に開拓せず、ソーシャルワークしていないケースも。審判員である医 師にしても、刑事事件の記録に慣れていないため、警察の調書を真に受け る傾向があり、悪い先入観を抱きかねない。 次の講演者、中島直さん(多摩あおば病院、精神科医)は、横浜刑務所で の勤務経験もあり、司法精神医学に通じています。現在は、付添い人の相 談を受けることもあるとのこと。当日は、「医療観察法施行後3ヶ月の適 用例」に関する詳細なレジュメを配布し、特に、付添い人からの相談例を 通じて見える問題点について説明して下さいました。 <要旨> 心神喪失・心神耗弱の二つから、医療観察法もあり、措置もあ り、という状況で、責任能力判断が曖昧化している印象。鑑定入院にも多 数の問題点あり。鑑定入院中、入院する人に必要な諸費用や小遣い金が保 証されておらず、ストレス要因に(他の入院患者がジュース等を買ってい るのに、何も買うことができないなど)。社会復帰調整官は、池原さんも 述べたように、ケースワークしないことが役目だと考えているのではない かと疑われる人が多い。鑑定書の水準は低くないが、医療観察法による医 療の内容が曖昧なため、特に医療観察法の医療が必要との判断は示されず 、「入院が必要」などだけ記載される。また、大阪や岡山で、本来指定入 院機関への入院対象者であるが、遠いので医療観察法の対象としないとい うケースあり。これは医療的な判断としては妥当だが、同じ症状、同じ行 為を行っても、東京では適用、岡山では非適用というのは、法律の破綻を 示している。そもそも、鑑定入院の期間が本当の急性期にあたる場合が多 く、医療の必要が高いが、鑑定の3ケ月を経た後、指定入院施設で急性期 と称して多額の予算をつけているのはおかしい。さらに、国立武蔵では既 にベッド数が足りず、急性期の人に社会復帰期のユニットを転用している 。施行前に言われていた前提はすべて崩れている。 最後に、佐藤妙さん(榎本クリニック、精神保健福祉士)は、必ずしも医 療観察法に反対という立場ではなく、医療観察法のなかでの精神保健福祉 士の役割について考えていく、という主旨で講演を行って下さいました。 <要旨>日本精神保健福祉協会・東京精神保健福祉協会の医療観察法に対 する見解としては、社会復帰調整官や、精神保健参与員というかたちで、 ソーシャルワーカーの意見が一定程度入っていくという点に関して評価し ているが、法の矛盾などもあるということで、学習会を開いたりしている。 榎本クリニックでの、薬物依存の方々への取り組みを通じて、一人一人と の係わり合いを密にし、マンパワーを割くことによって、再犯率も下げら れると考える。医療観察法は、社会復帰を謳いながら、施設に厳重なフェ ンスを備えるという矛盾があり、本当に社会復帰を目指すなら、ソーシャ ルワークが重要。そもそも、医療観察法でのサポートが特別なものなのか どうかはわからない。医療観察法にだけマンパワーを割くというのは疑問。 以上三者の提起を受けて、質疑応答が行なわれましたが、紙幅の都合も あり、割愛させて頂きます。 その後休憩をはさみ、カンパを募った(25940円のカンパを頂きました、 ありがとうございます)後、参加者の方々からアピールを頂きました。医 療観察法のみならず、障害者自立支援法、共謀罪など、障害当事者や運動 にとって厳しい状況と闘っていくための、力強いアピールが続きました。 短い時間のなかで多くのことが語られ、集会参加者全員が共有できるもの が多くあったと思います。集会の最後は、札幌の佐々木さんの発案で、 「しんどいことを訴え、ゆったりと闘っていく」ためのシュプレヒコール を行って、閉会となりました。 3時間半以上にわたる長丁場でしたが、笑いが起こることもしばしばで、 なごやかに結束をはかりつつ、明日からの闘いに備えるための全国集会で あったと思います。 (永井) 差別と拘禁の医療観察法の廃止を!11/20全国集会基調報告 基調および各地からのアピールはこちらをご覧ください 会計について 会計担当:永井 11月20日の総会において2004年11月1日から2005年11月19日までの会計 報告を行いました。収入合計は546445円、支出合計は388801円、収支 157664円です。主な収入は皆様のカンパ(162874円)と会員会費(141000 円)、そしてパンフレットの売上(171965円)です。主な支出はパンフや ニュースの印刷代(61472円)と、その郵送代<封筒代含>(179503円) 、会議・総会等の会場費(50500円)でした。総会当日には、25940円のカ ンパを頂きましたが、それでも今回の総会では、15000円程度の赤字が出 てしまいました。これまで収入源として大きかったパンフレットも底をつ きつつあり、財政の建て直しが急務となっています。かねてお伝えしてい るとおり、支出の中心はニュースの郵送切手代ですので、この部分の経費 削減を図らなくてはならない状況です。発送対象者を、会員とこれまで集 会等に参加して下さったことのある方、ネットワーク出版物の購入者に限 る方向で削減に努めるほか、メール便などの活用も考えています。 医療観察法は施行されましたが、ネットワークではこれからも、反対運動 を継続していきます。そのために現在、体制を再構築することを進めてい ます。「医療観察法があるのが当たり前」という状況が生み出されるのを 阻止するためにも、ネットワークの活動を通じて連携していきましょう。 この運動の力や皆様との情報共有の場を縮小しないためにも、是非、一人 でも多くの方に会員になって頂きたく思います。さらに、既に会員である 方にも、会費のお振込み(一口500円からですが、何口でもお願いします )をお願い致します。皆様も各地でそれぞれの活動に励んでおられること は周知の上ではありますが、多くのご援助をお願い申し上げます。 ご参加いただける方は表紙にある連絡先まで以下をお知らせください 氏名(団体・個人) 公表の可・不可もお書き添えください 連絡先 住所、電話番号、ファックス、e-mail 年会費 何口 円 (団体・個人 公表の可・不可をお書き添えください) 郵便振込みは、以下の口座へ。 口座:00120-6-561043 加入者名:予防拘禁法を廃案へ! お知らせ ◆ ネットワーク2月例会 2月11日(土)13:00〜 場所 出版センター (千代田区三崎町3-10-15富士ビル405 T&F 03-3221-1521) ◆ 第11回連続・学習討論会「今一度医療観察法がある社会を問う」 2月19日(日)14:00〜 講師 山本真理さん(全国「精神病」者集団) 場所 中野商工会館1F第2会議室 (中野区新井1-9-1 Tel 03-3389-1181) 本の紹介 雑誌「精神医療」 No41 特集 動き出した「医療観察法」を検証する 批評社 1700円 内容 ・インタビュー 歴史の中の「医療観察法」岡田靖雄 聞き手岡崎伸郎 ・医療観察法と地域処遇 白澤英勝 ・施行前に指摘していた問題点がやはり露呈した医療観察法 中島直 ・「医療観察法」の現状と課題 小高晃 ・今改めて反保安処分をそして強制入院制度の撤廃を 長野英子 ・国立病院機構 花巻病院 医療観察法病棟見学記 原恵造 学習会講師派遣 ネットワークでは、「学習会の講師派遣」を始めました。旅費を負担して いただければ、適当な講師を派遣します。 ご連絡ください。 パンフレット 下記のパンフレットを取り扱っています。 ◆「障害者差別と優生思想〜優生学の歴史と現在」 第5回連続学習会講演録 B5判 16ページ 講演者 松原洋子(立命館大学教授) 発行 心神喪失者等医療観察法を許すな! ネットワーク 100円(送料別) ◆「患者隔離から見えてくるもの〜ハンセン訴訟から学ぶ」 国立武蔵病院に「心神喪失者医療観察法」拘禁施設を作らせない 5・22集会講演 B5判 20ページ 講演者 八尋光秀弁護士 100円(送料別) ◆「日本精神科医療の半世紀 −どこへいくのか、そしていま何をなすべきか」 岡田靖雄 講演録 B5判 28ページ 発行所 (社)大阪精神科診療所協会 定価 300円 送料 110円 ■■心神喪失者等医療観察法の廃止を求める! 賛同署名を行っています 賛同者は、お名前(あるいは団体名)、ご住所、E-mail、公表 可あるい は不可をお知らせください。 連絡先 kyodou-owner@egroups.co.jp あるいは表紙にある連絡先まで 編集後記 今号は「心神喪失者等医療観察法を許すな!ネットワーク」の第2回総 会及び全国集会の報告が中心になっています。法の施行は始まりましたが、 ますますこの予防拘禁法の破綻は明らかになってきています。(TO) このページトップへ ホームへ