7月15日施行弾劾 誰もいらない 精神障害者差別・予防拘禁法 心神喪失者等医療観察法を廃止へ

  ビラダウンロードは以下から WORDファイルは
こちら PDFファイルはこちら   政府は私たちの反対を押し切り強行採決された、「心神喪失等の状態で重大な 他害行為を行った者の医療と観察に関する法律」を7月15日に施行しました。 この法律は重大な犯罪にあたる行為(殺人、強盗、放火、強姦、強制わいせつ およびこれらの未遂と、傷害)を行ったとされた人が、再び同様の行為を行う おそれがあるとされれば、強制的に入院ないし通院させて治療を加えるという 新しい制度を定めたものです。 対象とされるのは「重大な犯罪にあたる行為をした」とされ警察に逮捕され検 察に送られても、心神喪失あるいは心神耗弱とされて不起訴(ないし起訴猶予) となり裁判にならなかった人、あるいは裁判になっても心神喪失・心神耗弱に よる無罪・執行猶予などとなり刑務所に行かなかった人です。通院については 最長5年とされていますが、入院については期限がありません。そしてこの処 分は裁判官1名と精神科医1名(精神保健審判員)によって決定されます。 政府はこの法律は対象者に手厚い高度な医療を保障し社会復帰を図ることが目 的と説明しています。しかしこの法の目的には「同様の行為の再発の防止を図 り」と書かれ、再犯防止を目的としていることは明らかです。 昨年公表された審判の際のガイドライン案においては治療の可能性、障害の重 さ以外に、もうひとつの基準「リスクアセスメント(危険性評価)」があげら れています。これこそ「再犯のおそれ」を鑑定の基準と使用とするものです。 すでに日弁連はこうした鑑定ガイドラインそのものの策定の中止を訴えています。 ○予防拘禁を許してはなりません この法律の強制入院や強制通院は本人の利益のための「医療保障」でもなく、 またすでに行った犯罪行為に対する「刑罰」でもありません。「再犯のおそれ」を 根拠に「再犯を防止」することを目的として、刑罰に代わり人を拘禁する予防拘 禁にほかなりません。 国家が「再犯のおそれ」というあいまいな要件で人を拘禁できるというのは恐る べきことです。運用次第では誰でも拘禁されるおそれもあります。しかも不起訴 でこの法律の対象者とされたら、刑事裁判とは全く異なる簡易な手続きで拘禁 が科せられることになります。正式の裁判手続きをもって慎重に科せられている という死刑判決ですらえん罪が生じています。何もしていないのに「重大な犯罪 にあたる行為をした」とされ予防拘禁されることもありうるのです。 この法律は、精神障害者団体、精神医療保健福祉専門家団体、家族団体、日 弁連はじめ法律家団体の反対にもかかわらず、2002年3月に国会に上程され ました。国会審議は3会期、1年4ヶ月にも及び、審議の中では *精神保健審判員と裁判官の合議で再犯予測が可能とする政府見解が誤りで ある *この法案の成立により精神障害者への偏見が助長される *貧しい精神医療の現状を放置するものである *この法対象者は起訴前鑑定およびこの法律による鑑定入院により逮捕後5ヶ 月から6ヶ月も医療を受けられず、反医療としかいえない などなど問題点が次々と指摘されましたが、いずれにも十分な検討も政府回答も されないまま、野党の反対を押し切り成立しました。 とりわけ参議院においては、この法律を推進している日本精神科病院協議会(私 立精神病院経営者団体)の政治資金を厚生労働副大臣、与党議員が受け取った ことをめぐり、「金で買われた法案」という野党の追及の中で抜き打ちの強行採 決で成立したといういわくつきの法律です。 ○地元説明会は「精神障害者差別をあおる全国キャラバン」 この法の収容施設はまず、国立と独立行政法人(旧国立)の6病院あとは都道府 県立病院に建築するということで、すでに受け入れが決まっているのは国立武蔵 病院(東京)、肥前精神医療センター(佐賀)、東尾張病院(愛知)、花巻病院(岩 手)、北陸病院(富山)、下総精神医療センター(千葉)、松籟荘病院(奈良)およ び岡山県立病院です。 政府はこれら病院地元で、地域住民への説明会を開いていますが、その中で政 府が強調しているのは「入り口は二重の鍵つき」「周囲は二重の塀で囲い、振動 感知センサーや監視カメラをつける」「外出は一人ではさせない」などなど、 「いかに収容される精神障害者が危険であるか」を地元住民に宣伝する内容です。 それゆえ東尾張病院地元住民からはなんと東尾張病院全体を人里はなれたグリー ントピア跡地に移転せよという代替案まで出されています。 この法律施行のために、特別施設を作ろうとすること自体が精神障害者差別を各 地であおっており、地元説明会はすでに「精神障害者差別をあおる全国キャラバ ン」と化してしています。 ○差別的予防拘禁費用を障害者に負担させるのか 現在政府は「金がない」の一言で、精神保健福祉法32条の外来医療費公費負担 制度まで撤廃し、障害者の福祉切捨てと自己負担増を定める「障害者自立支援法 案」を上程しています。すでにここ数年地域の精神保健福祉サービスへの補助金 削減も行っています。一人一人の障害者の手元にわたる生活保護費や、障害年金 の減額も続いています。 それにもかかわらず、この法律の下での予防拘禁施設の収容費用は一人当たり年 間2000万円、もちろんこれに加え今後地域処遇の費用、審判費用、などなどがかさ んでいきます。仮に24か所の施設ができ毎年300人もの対象者が生まれてい くとすれば、現在32条に使われている公費負担分約477億円がそのまま医療 観察法のために費やされることになりかねません。 精神障害者を差別的に予防拘禁する医療観察法の費用を精神障害者および障害者 の自己負担・サービス削減でまかなおうという方針は決して許してはなりません。 ○すでに破綻している医療観察法は廃止しかない 現在指定が決まった施設は8つしかなく年内に開設予定の施設は2つのみです。 年間300名あまりとされる対象者に対応できないことが明らかになると、政府 はこの施設の病床数を半分の15床でもよしとするなど、職員基準や施設基準を 下げてまで自治体立病院に施設を押し付けようとしています。 また鑑定期間中の個室への監禁や身体拘束あるいは医療内容や強制医療について の手続きはおろか正当化根拠も明らかにされていません。鑑定期間中の通信面会 の権利保障、弁護士が検閲や立会人なしに文通面会できる秘密交通権保障につい ても不明です。処分が決まってからの施設収容中についても同様であり、処遇へ の不服申し立ての具体的手続きも未定です。地域での強制通院中における個人情 報の管理についても何も決まっていません。 政府はこの法律の「対象者の医療と社会復帰のために高度な医療と手厚い人手を 保障」という建前さえかなぐり捨てて、強引な法施行をしました。日弁連も法施 行延期意見書を出しており、また日本精神神経学会法委員会も法の凍結を求めて います。施設を受け入れた現場からもこれでは患者の利益にならない、施行でき ないという悲鳴が上がっています。 政府は国会審議中にさんざん強調した「対象者への高度な医療保障と社会復帰の 促進」という建前さえかなぐり捨て、強引な施行を行ったのです。6月8日衆議院 法務委員会で民主党議員から法施行に監視追及されても、「施行してから修正を 考える」などと答弁する有様でした。 心神喪失者等医療観察法はあらゆる点で破綻しています。廃止しかありません

差別的予防拘禁費用を障害者に負担させる 「障害者自立支援法案」を許すな

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